第12章 Master and servant　ｰ主従ｰ

ｰ殺し合い…ｰ


その言葉に、私の心は震えた。


「……そうすることに、いったい何の意味があるの？」


レイが、静かな声でそう訊ねる。

すると楽しそうに笑っていた女性が、
すっと表情を一変させた。


「はぁ？

　やめてよ。
　あなた本当につまらない。

　意味なんか求めてどうするの？
　それで何かが生まれると思って？
　罪人が何かを生み出すことなんてこと、ありえない。

　……だから、意味なんてものを求める必要はないのよ。」


女性はきつめの口調で蔑むように、レイに言った。


「…………撃つなら、
　早く撃てよ。」


赤い拳銃を拾い上げるも、
じっと静かに前を見据えたまま……

動こうとしない。

そんなレイに、ザックは低く言った。


「……ねぇ、
　もしかして、引き金を引くのが怖いの？

　面白味のない、つまらない子から
　脱出することができないの？」


女性の挑発するような声に、
即座にレイが答える。


「違う。」

「……おい、レイ。
　お前が撃たなくても、
　俺は殺すのを我慢できねぇぞ‼」

「……私は、撃たない。」


ザックが鎌を構えるも、
レイは何処か落ち着いた声音で、静かにそう言う。

ザックも、悲痛な声にも聞こえる声音で、
そっと息を吐くように言った。


「……そうかよ。
　でもな、俺は殺したくて仕方ねぇよ‼」



……まだだ。
まだ、その時じゃない……。

……頃合を見計らって、
2人を、止める……。


私は、そう決意した。