The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第11章 Floor B3 ー地下3階ー
『ちょ…、ま、待って……‼
セバスチャンを撮らないと……っ‼』
ーカシャッー
ージー…ー
軽いシャッター音が鳴り、
再びポラロイドカメラから私の写真が吐き出された。
……そもそもこれ、
撮りなおしても意味無いんじゃ……。
「ぶはっ‼
変な顔だな……‼」
『…………。
ザックの所為でしょ……。』
写真の中の私は、
焦って、こちらに手を伸ばしてきている。
……全く。
楽しそうに笑っているザックを、
私はじとっと睨めつけてから、深く溜息を吐いた。
『……次、セバスチャン。
撮ってもらえば?』
私は可笑しそうに笑っているセバスチャンに
不機嫌そうにそう声をかけた。
「ええ……。
そうですね。」
薄く微笑うセバスチャンは、
ネームボードを首から下げてボーダー背景にへと歩いて行く。
ザックは自分のパーカーのポケットに
私の写真を乱雑に突っ込んで、
再びポラロイドカメラに向き直った。
「おー。
撮るぞ、しつじー。」
ーガンッ‼ー
ージー…ー
ザックは、ポラロイドカメラのシャッターを、雑に切った。
……やっぱり、写真はブレている。
「……。」
……せ、セバスチャン。
堪えろ……‼堪えるんだ……‼
セバスチャンは、笑顔のまま怒っていた……。
目が笑っていない。
それがまた、一段と怖い…。
「…………では、参りましょうか。
お嬢様、レイ様……。
奥の鍵は、開いたようですしね……。」
最後の方をセバスチャンは、
入口を睨みつけるように鋭く見て、
そっと囁くように言った。
「おーし。
んじゃ、さっさと行くぞ。」
ザックが先陣を切って歩き出す。
それに、レイ…私…セバスチャンの順に続いた。