The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
ーカチッー
そんな他愛のない会話が終わったその時、小さく軽快な音がした。
……たぶん、それはザックの足元から……。
「……ん?
なんか、音がしたな。
……冷てぇし、もう良いだろ。」
ザックはそう言って、水から上がろうと私の方へ水をザプザプとかき分けながら歩み寄ってきた。
……別に、
私のところに来なくても、別の所からでも上がれるのに……。
そう思い、立ち上がろうとしたその時……。
不意にザックに腕を掴まれた。
『っ……‼
え…!?』
グイッ……と、半ば強引に腕を引かれ、私はバランスを崩した……。
お、落ちる……っ‼
私は、そのうちに訪れるであろう衝撃に身を備えて、ぐっと身をこわばらせて強く瞼を閉じた……。