The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
静かにそう読み上げたレイは、
その書類を私に差し出した。
その書類には、私のことが事細かく詳細に書かれてあり、
いつ撮られたのであろうか、写真まで添えられていた……。
いつかの私が写っている……。
……長く伸びてきた髪が、顔にかかってしまうのも厭わずに、一心不乱に英書を読みふけっていた……。
レイが淡々と私の履歴書を読み上げる間、
ザックは珍しく、静かに黙ってそれを聞いていた。
……なんだろうか。
この不思議な感情は…。
少し、
ほんの少しだけ…くすぐったいな……。
自分の経歴が、誰かに知られている……。
読み上げられている……。
…字の読めないザックが、
少しでも、私のことを知りたい…と思ってくれたのかはわからないが、
……それでも、
……レイに読ませてまででも、私を知ろうとしてくれた……ということが少し嬉しくて、堪らなくくすぐったかった……。
少し、恥ずかしいような、
そんな気もしていた……。