第6章 これは恋のゲームだよな?
翌日、お互い目が覚めて急いで着替えて時間をずらして部屋を出てチェックアウトを済ませた。
バレてないよな?そんな思いから出ていく前に隠しカメラがないか確認してから僕は家を出た。幸いにも今日は仕事休みなので家に着いて、莉子に昨日説明した通りだからと言って平然を装うことにした。
「お仕事大変だったわね。」
莉子がにこやかに出迎えてくれる。
僕はその後、莉子が用意してくれた朝食を食べながら、莉子の最近のあれこれやインスタ事情を聞いた。
そういや最近、莉子のインスタ見てないや。また今度見ておこう。
「それがね、3分クッキングもいいけどDAIGOさんの料理番組にもハマっててね。あと家事ヤロウでしょー。参考になるからいいわよね。」
「そうだな。あっ、この後ひげ剃っていい?」
「いいわよ。食べたお皿やコップは流しにおいてくれればいいから。」
「ありがとう。ごちそうさま。」
僕は食器を片付けて洗面台に向かった。
・・・・・・・。
「悠真君ってば最近、仕事に熱心で張り切っちゃってすごいわー。あら、こんなところに鞄を放り出してもぉー。寝室に持って行ってあげないと。・・・・・ん?何かしらこれ?」
鞄の中が少し空いており、何かのカードが見えた莉子は鞄を開けてカードを取り出した。クレジットカードかなにかと思ったのだろう。親切心に財布に入れてあげようとしたその時だった。
「えっ?」
カードは明らかにクレジットカードでもないし薬局のポイントカードでもない。
「ふーん。愛・らぶ・ホテルねぇ。」
この時ばかりは鈍感な性格の莉子も見逃さなかった。
自分のiPhoneを手に取るとカードをテーブルに置いて写真に収めた。
これがきっかけで波瀾万丈な幕開けになるとは夢にも思わないだろう?