第3章 12~19
そんなこんななんやかんやで仕事を探しに出た新八、銀時、乃芽の3人。
なんですが。
「例えばどんな所で働きたいですか?かぶき町で働くとなると、スナックとかキャバクラとか…何か危ないとこが多い感じになっちゃいますけど」
「それは別にいいの。私結構腕には自信あるから」
「そーは言ってもねェ」
ぶらぶらと当てもなく町を歩きながら話す。
銀時はちらりと乃芽に視線をやった。
「んな細っこい腕で自分守れんのかよ。無理しなくていいぜぇホント」
「でもお給料良いんでしょう?ちょっといいなって思ったり…」
「ダメダメダメですよ乃芽さん!甘い気持ちで入ったらダメです!乃芽さんみたいな人一発で狼の餌食ですよ!」
「そーだぞ。中にはケツ触ってくるジジーも…」
「ちょっとそこのお姉さんウチで働かない!? 今ならすぐナンバーワンになれるよー!」
「「……………」」
銀時の声を遮るテノール。思わず足が止まる。
振り返らずともわかった。視界の端に、デカくて白いペンギンお化けがちらついていた。
「? 銀さん?」
不思議そうに首を傾げる乃芽。新八も足を止めたが、すぐにその人物を目に止めた。
「ちょっとそ…おお銀時ではないか。久しぶりだな」
「ヅラァ。テメまたこんな所でこんな事してんのかよ」
「ヅラじゃない桂だ!」
「あーー!!! 桂こた…むぐ!」
思いっきり指を差して叫びかけた乃芽の口を、銀時の大きな手が塞いだ。
そうだ。私はもうお庭番衆ではない。桂を見つけたら即斬れという命令も、実行しなくていい。
慌てて銀時の手をどかし、小声で。
「銀さん桂と知り合いなの!?」
「んあ。腐れ縁だ」
「腐れ縁じゃない桂だ。時に貴様。妙に美人なおなごといるではないか。知り合いか?」
「あぁ…新しいウチの居候」