第13章 神なんてくそくらえ
あっ……目を細めたカラさんが両手で拳を組んで仕返しとばかりにおそさんの頭に拳骨を降り下ろす。
おそさんの拳骨より威力あるな…あれは。
「いっだぁーいっっ!!?お前の馬鹿力で倍にして返してくるんじゃねぇよっっ!!?あー…いってぇ…」
「はぁ~…すまん、目が覚めたぞ…ありがとう兄さん…もう落ち着いた…オレは大丈夫だ」
カラさん…ああよかった、いつもの彼に戻ったようだな。
「カラ松くんもありがとうな、君が一緒にいてくれて助かった」
カ「フッ…こういう時はどちらかは不思議と冷静になるものさ」
いちさんは子猫を診終わったみたいだな。
「静かにしないと部屋から追い出すよ…それと、この子猫なら少し衰弱してるけど怪我はない、おれが預かるけどいいかな…」
「任せる…タキが身を呈して助けたんだ、元気でいてもらわないとな」
「そうだね…なんならマメも預かるけど?」
「……いや、マメの面倒ぐらいはオレがしっかりみないとな、タキに何やってんだって叱られるから…ありがとうな、いち」
「そう…」
白塚の皆はベッドの周りで彼女を見守っている。
オレのブラザー達も後ろのほうでおとなしく事の成り行きを見守っている、普段はデリカシーの欠片もないおそ松でさえおとなしい。
静寂と彼女の生命を繋ぐ機器の音だけがする重い空気の部屋、そんな時トドさんが異変に気が付く。
「ねぇ…?なんか…気のせいかな?タキちゃんほんのり光ってない?」
「本当だっ!!光ってるねっ!?」
「えっ…!?」
その声にベッドの横で祈るように手を組んで下を向いていたカラさんも顔をあげる。
そうしているうちに後ろにいるオレ達にも分かるぐらい光り輝きだした…眩しさに皆が手を翳す。
ボフンッッ!!
いつものタキちゃんのケモ耳の姿が現れた…いや、何か違う。
?『なんじゃ?ぬしらは?久し振りに起きてみればこれはどういう事じゃ?』
今まで聞いたこともない口振りでオレ達を初めて見たような態度のタキちゃん。
タヌキの姿からケモ耳になる時はいつも裸なのに、今の彼女は白地に橙色の紅葉柄の入った丈がミニの着物に橙色の帯、足は足袋に底の高い草履を履いている。
それにセミロングだった髪もかなりのロングになって左右に分けられ毛先のほうで勾玉のような髪飾りで結わえられている。