第13章 神なんてくそくらえ
Nカラ松SIDE
一瞬の事だった…。
いきなりタキちゃんがタヌキ姿になって駆け出して行った…オレもカラさんも止める余裕なんてなかったんだ…。
「タキーーっっ!!!」
けたたましいクラクション、咄嗟に口にくわえた子猫をこちらに投げた彼女はまるでボロボロになったモップのように血を流し横たわる。
子猫はオレがキャッチした…けど彼女は……。
彼女をひいた車は普通車だ、避けようとしたのだろう歩道に乗り上げ電柱にぶつかっている。
「う、嘘だろ…?タキ?狸寝入りか…?起きろよ…起きろっ!冗談だろ?なぁ…?嫌だっ!!嘘だ…嘘に決まってる…あああーーっっ!!!…タキ…タキ……」
駄目だ…カラさんは取り乱し方が尋常じゃない、そんな彼を見てオレは逆に冷静になる、落ち着け…今何をすべきだ…?
カ「カラさんっ!?携帯貸せっ!!いちさんに連絡するんだっ!!しっかりしろっっ!!タキちゃんが死んでもいいのかっ!!?」
涙を流し放心したようにブツブツと同じ言葉を繰り返す彼の肩を揺すりオレは怒鳴る。
「え……あ……そうだ……一松……一松っっ!!?」
我にかえると上着のポケットからスマホを取り出し慌てて連絡をとるカラさん。
オレは子猫を中に着ているシャツの中に入れて上着を脱ぐと下に引く、頭を打っている可能性を考えなるべく彼女の横たわる体勢を崩さないよう上着でくるむ。
カ「なるべく衝撃のないように移動しないと…」
「連絡がついたっ!!そのまま運ぶぞっ!!カラ松くんっしっかり抱いててくれっ!!運転はオレがするっ!!!」
車に乗り込むとかなりのスピードで屋敷へ戻る、カラさんはすぐにいちさんが担当する施術室にタキちゃんを運ぶ。
マメはオレが抱いて連れて行く。
手術着を着たいちさんと同じ格好の助手は一松、オレ達は煩くて邪魔だと追い出された…いや…煩いのはオレじゃなくてカラさんなんだが…。
部屋の外には慌てた白塚の皆とブラザー達が駆け付けた。
「おいカラ!?何があった?」
「兄さん…タキ…助かるよな…?死んだりなんてしないよな…?なぜだ…なぜこんな事になってる………」
自問自答を繰り返すカラさんは話にならない、代わりにオレが何があったのか皆に説明する。
皆が皆言葉も出ず…部屋の外で立ち尽くす。