第1章 始まりの風
生温い春風があたしの髪をなびかせる。
ふと立ち止まり見つけた、ガラスの窓。
そこに写るあたしは…。
「あたし、こんなに色素薄かったっけ。」
雪色の肌・銀に染まる、膝下の髪。
そして、白っぽい青と白っぽい紫の瞳。
もっと…全て濃いかったと思うけどな。
振り返るたくさんの人達。もうなれたよ。
自分で言うのもあれだけど、あたしは美人だ。
昔から言われ続けた、美しいという言葉。
褒められたのは容姿だけ…。
逆に言えば、美しいしか良いトコ無いんでしょ
「くだらない。…何もかも。」
行き先はあたしの本当の家…。
父さんや母さん、あたしの弟がいる家。
もっとイギリスにいたかったんだけどなぁ。
まあ、しょうがない。
「ただいま帰りました、ユーリです。」
「お帰りなさい!まあ、大きくなって!」
…いけない、母さんの顔を忘れてた。
いや、だってもう8年は会ってないんだよ?
それに、こういう母親の愛ってうざい。
家族ってものが嫌いなの。
あたしには必要ないから。
母「もうすぐリョーマも帰ってくるわ。
さあ、今日の夕飯は豪華よ♪」
「…リョーマ?あぁ、弟か。」
母「まあっ。実の弟の名前忘れてたの?
リョーマはユーリのこと大好きよ♪」
べつに好きとかどうでもいいのよ。
あたしは、はっきり言って嫌いだし。
あいつだけ可愛がられて、大事にされて。
イギリスに置き去りにされたあたしは…。
越「ただいま。…姉、さん…?」
「リョーマ、8年ぶりね。」
越「姉さん、会いたかったっ!」
まだあたしより小さい君。
その笑顔の輝きだけは、忘れたことなかった。
憎らしかったから、ね?