第2章 ドS彼氏、本性現れる
もしかして、この卵焼きが食べたいのかな、と思い私は彼にお弁当を差し出す。
「いいのか?俺が食っても」
「うん! この卵焼き、けっこう上手く出来たと思うから、食べてほしくて」
彼は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの笑みを浮かべた。
そして、卵焼きを手で掴み、
「…いただきます」
と、口に入れた。
「……どう?」
私は食べ終わるのを静かに待つ。
彼は口にあるものを飲み込むと、親指をペロッと舐め、
「ごちそうさま。……美味かったぜ」
妖艶な笑みを浮かべ、そう言ったのだった。
彼のその1つ1つの仕草そして、言葉がなんだかとても色っぽい。
「そ、そっか! 良かった…」
この彼にはドキドキせざるを得なかった。
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「あー、食った食った…」
「だねー。おなかいっぱい……」
私達はお昼ご飯を食べ終わり、残りの時間をゆっくりと過ごしていた。
なんか、凄く幸せだなぁ……
愁夜くんの彼女になれて本当良かった……
すると、愁夜くんは何かを思い出したようで、私の方を向いてきた。
「……あ、そうだ。俺、お前に卵焼きのお返しあげてねぇよな……」
「え?あぁ、別にいいのにっ」
「いや、やるよ…。
……卵焼きよりも、甘いやつを、な……」
彼は一瞬怪しげな笑みを浮かべたが、すぐにいつもの顔に戻った。
「なぁ…。今から俺がいいって言うまで、手ぇ出して目を瞑ってろよ?」
「う、うん……」
私は言われた通りに目を瞑り、手を出す。
視界が暗くなり、何が起きるかわからないため、凄くドキドキする。
__その時だった。
「えっ…………っ!?」
ぐいっと、出していた手を引っ張られ、私の体は前のめりになる。
急なことだったので私は驚き、つい目を開けてしまった。
目を開けてまず最初に視界に入ったのは少し口角の上がった彼の顔。
そのまま彼の顔はどんどん近づいてきて___
____お互いの唇がくっついた。