第4章 ドS彼氏、教える
「…あのなぁ。俺は“お前の望むようにすればいい"って言っただろ?
だから、お前が別れたくなければ、別に別れる必要はねぇよ……。
俺も、美琴が好きだから……」
彼はそう言うと、より強く私を抱きしめた。
私の頭の中では、彼の心臓の音がうるさく鳴り響いている。
私も彼のように、胸がドクッドクッと速く動いているんだと思う。
……そして、2人の胸の音が重なり合った時、
「…………」
「…………」
私の頭を押さえる彼の力が弱くなったため、私は頭を上げ彼を見つめた。
彼も私と同じく、私を見つめている。
私の瞳には彼しか映っていないし、彼の瞳には私しか映っていない。
……そして
「……美琴」
彼が私の名を呼んだのを合図かというように
お互いの顔がまるで引き合う磁石のように近づき、
「……ん……」
私達は唇を重ねた。
唇を離しては2人見つめ合い、また重ねる。
唇から彼の温もりが伝わってきて、なんだか心地よい。
このキスはきっと……今までで一番優しいキスだろう。
私はそう思った。
教室の窓から差し込む夕日の光が、なんだかとても眩しく感じる。
さっきまで濡れていた瞳は、もう彼の温かさで乾いていた。