第4章 ドS彼氏、教える
「…………っ」
もっと私の名前を呼んで……
もっと私を抱きしめて……
もっと、ずっと……
「…行かないで……っ」
………私の傍にいて……………
気付けば私は彼の腕を掴んでいた。
大粒の涙を流して。
「お、お前……」
涙で視界がかすんでいたけど、彼が驚いていることはなんとなくわかった。
「やだよっ…ひっく……別れたく、ない……うぅっ……。
私っ……愁夜くんがっ……っ…好き、だから……。
どんな愁夜くんでもっ……ひっ…く、受け入れるからぁっ……。
だからっ、お願いっ…。
別れるなんて……言わないで……っ……」
次々と溢れ出す涙を拭いながら、必死に思いを伝える。
すると、彼の腕が背中へと伸びてきて、私の身体を彼の身体へと導いた。
「しゅう…や……くん……?」
彼の顔を見ようとしたけど、彼の腕が私の頭を彼の胸へと押さえつけてしまった。
背中と頭に彼の腕があるため、身動きが取れない。
……でも…
私の身体の全てを包み込むような彼の腕がとても優しくて。
彼の温もりが私の悲しみを消してくれるようで。
なんだか、とても安心した。