第4章 ドS彼氏、教える
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「…はぁ、終わった~」
愁夜くんのおかげでなんとか課題を終わらせることが出来た私。
1人だったら絶対終わってなかったな…。
「それじゃあ、プリント出してくるから愁夜くんは帰っていいよ~」
机の上を片付けながら私はそう告げる。
勉強を教えてもらっているうちに、彼とはなんとか話せるようになった。
気まずい感じもないし、もう大丈夫だろう。
…そう思った時だった。
「……っ!!?」
愁夜くんがグイッと強引に私の腕を引っ張ったのだ。
バサバサと、机の上にあった物が落ちる音がする。
急に起きたことに驚き私は、彼を恐る恐る見た。
「…っ」
彼は真剣な表情で私を見ていた。
彼の瞳に見つめられ、私の身体は氷のように固まってしまう。
驚きと恐怖……そして少しのドキドキが混ぜ合わさったような。
そんな気持ちが心の中から溢れ出る。
「愁夜、くん…。どうした──」
「あのさぁ、」
私の声は愁夜くんの声に遮られ、消えた。
そして、次の言葉を待っていると、
「……えっ!?」
さらに腕を引っ張られ、私と彼の距離はぐんと近くなった。
目の前には、彼の綺麗に整った顔。
私の頬にかかって少しくすぐったい、彼の黒い髪の毛。
そして、少しでも動いたら触れてしまいそうな、彼の唇。
私の胸が、ドクンと大きく音を立てた。