第4章 ドS彼氏、教える
「え、あの、な、何で愁夜くんなんですか!?」
「ん?そりゃあ頭良いからに決まっているだろう?
何だ、何か問題でもあるのか?」
いや、大ありだって!!!!
だって補習って二人っきりでしょ!?
気まずいに決まってるよーー!!
「…あの、えっと、ですね……。実は──」
「おぉ、丁度良いところに。
おーい、朝霧ー!ちょっと来てくれー!」
先生は私の言葉を遮り、少し大きめの声で愁夜くんを呼んだ。
え、ちょっと。タイミング悪すぎない?
愁夜くんは呼ばれたことに気が付き、私達の方へとやって来た。
彼は私の前に立っている。
なんか、こんなに近いの久しぶりだな……。
「……何ですか?先生」
「いやぁ、実はな、日笠の補習をしたいんだが、俺は部活があるからな……。
朝霧、こいつの補習に付き合ってくれないか?」
あ、でも、愁夜くんが断ってくれたら──
「もちろんいいですよ」
…………。
……そんな爽やかな笑顔で言わないでよ…。
というか、愁夜くんは気まずくないのかな?
愁夜くんはまた私と話したいって、思ってくれてる?
そうだったら嬉しいんだけど……。
「そうか。じゃあ頼んだぞ、朝霧」
「はい、任せて下さい」
そうして先生はこの場から去っていった。
私も自席に戻ろうかと、愁夜くんの前を通った。
…その時、彼の顔がちらりと見えた。
「……………っ!」
……彼は口角を上げ、にやりと怪しげに笑っていた。