第3章 ドS彼氏、手当てする
*愁夜side*
一人残された俺はベッドに座る。
ギシッと音がした。
「いきなり出てくるなんて、びっくりした~」
「んー…。なーんかあの子、知ってる気がするんだよねー……。って、愁夜じゃん!」
美琴が出ていったドアから入ってきた男二人。
その片方の"アイツ"が俺の存在に気付いた。
「…よぉ、悠太……。…と、そっちは?」
"アイツ"とは俺と中学の時から付き合いのある悠太のことで。
現在クラスは違うが、今でも仲が良く、俺が唯一信頼している男だ。
そして、悠太と一緒にいる奴は悠太と同クラらしい。
悠太はケガをしているそいつを手当てしに保健室に来た、ということだった。
……マジでタイミングわりぃよな……
…こっちは楽しんでたってのに……
「そういえば、愁夜で思い出したんだけど…。さっき飛び出してきた子って、愁夜の彼女だよな?」
「…あぁ、そうだけど?」
手当てをしている悠太は俺に背を向けていて、顔が見えない。
でも…表情はなんとなくわかる。
「二人でなーにやらしいことしてたんだよー?
…あ、でも、彼女なんか複雑そうな顔してたけど……何かあったのー?」
「……別に。何もないけど」
悠太はそんなことを言ってるけど、きっと表情はあまり笑ってない。
俺は目を逸らした。
別に見られているわけじゃないんだけど。
ただ、なんとなく。
「ふーん……何もない、ねぇ……。
……っと!」
手当てし終わった悠太は立ち上がり、俺の方を向いた。
俺はまだ、座ったままだ。