第3章 ドS彼氏、手当てする
「あの子、大切にしなよー。せっかく"本気になれた"んだからさー」
「…わかってる」
言われなくても、大切にするっつーの……。
俺は立ち上がって、ドアの方へ歩く。
「ま、嫌われないよーに、頑張れよー。
……あと、
……あんまり、いじめすぎるなよ…」
その言葉にピタッと足を止める。
そしてゆっくり悠太の方に振り向き、
「ふっ……大丈夫だ。嫌われるようなことしねーよ……。
でもまぁ……
あいつは俺のやりかたで、愛してやるけどな……」
ニヤリと、口角を上げた。
そして俺は悠太の呆れたような顔を見た後、保健室から出て歩き始める。
保健室から悠太の「ったく、どうなっても知らねーぞ……」という呟きが聞こえた。
一人、廊下を歩く。
悠太はきっと、俺の嘘を見抜いていたんだろう。
何もなかった、っていう嘘を。
だからあんなこと言ったんだろうな……。
余計な心配いらないっての……。
まわりを見渡しても、美琴の姿はない。
もう外に戻ったんだろう。
てか、ケガは大丈夫なのか……?
足首ひねったくせに、走りやがって……。
…まぁ、俺が悪いんだけどな。
でも、逃げるなんて、ヒドイよな……。
……"お仕置き"が必要か……。
いや、まだだ……。
もう少しで、美琴はわかるはず……。
俺が必要なんだってことに気付くはず……だから…
それまで、待っててやるか……。
さーて、次は……
……どうやって、美琴を愛してやろうか……?