第3章 ドS彼氏、手当てする
私が向かった場所、それは__
「…愁夜くん!」
彼がいる赤組の応援席。
私は彼の元へと駆け寄る。
「美琴?」
「愁夜くん!お願い、私と一緒に来て!」
私は半ば強引に彼を引っ張り、グラウンドに連れていった
すると、彼は私にこう問いかけたのだった。
「おい、一体なんてお題だったんだ?」
「…えっと、…それは後で教えるから、今はとにかく走ろう!」
私はその質問に答えたくなかったため、彼に背を向け、先に走り出した。
……だって、このお題は…………
__その時
「…………っ!?」
足に何かが引っ掛かった感じがしたと思ったら、私の体は前のめりになり、
………………べちっ
と、そのまま前に倒れてしまった。
前を見ていなかったからなのか、彼の質問に気をとられていたからなのかはわからないが、どうやら私は大きい石につまづいて思いっきり転んでしまったらしい。
……うぅっ…恥ずかしい………
しかも、べちっていった、べちって…………
立ち上がらなきゃと思ったけど、何故か足が動かなかった。
「…美琴!大丈夫か!?」
すると、愁夜くんが私のそばに駆け寄り、体を起こしてくれた。
その瞬間、足にズキンと激痛が走る。
「……痛っ!」
転んだ時に膝を擦りむき、しかも足首をひねってしまったようだ。
膝からは砂が混じった血が溢れている。
……どうしよう……
こんなじゃ、走れないよ……
そう私が諦めかけた時だった。
「……はぁ、ちょっと我慢しろよな」
少し小さめな彼の声が聞こえた次の瞬間、
「……きゃあ!?」
私の体は彼の腕によって宙に上がった。