第3章 ドS彼氏、手当てする
『…借り物競争に出場する生徒は、入場門に集まって下さい。もう一度繰り返します……』
そんな放送が私の耳に入ってきた。
「…あ、私、これに出るんだった。
行ってくるねー!」
「おう。……頑張れよ」
私がグラウンドに向かって走ると彼は優しい声で私を応援してくれた。
……この時私は思いもしなかっただろう。
まさか、あんなことが起きるなんて__
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『…位置について。よーい』
パンッとピストルの音が響き、私の前のレースの人達がスタートした。
この学校の借り物競争はけっこう難しいお題が多いらしく、それなりに点数が高い。
……これは運だよね……。
うん、まぁ頑張ろう……。
さっきスタートした人達はお題にそったものを頑張って探している。
「…………を持っている方いますかー?」
「…………な人いたら手、挙げてくださーい!」
……っていうか、時間かかり過ぎじゃない?さっきから何分やってるんだろう……?
『おーっと!まさかのゴールしたのはたったの1人!
……残念ながら、ほかの人は時間切れということで、失格です!』
そんな感じでそのレースは終わってしまった。
……マ、マジで……?
どんだけだよ…………。
私はスタートの位置について、走る準備をする。
『位置について、よーい』
パンッ……
ピストルの音と同時に私はお題が書いてあるカードが置いてあるところへと向かって走る。
私はあまり走るのは得意ではないため、目的のところに着く頃にはカードが1枚しか置いてなかった。
私はそのカードを拾い、ひっくり返してお題を見てみる。
「……………………!」
そこに書いてある文字を見た瞬間、私の身体は一瞬にして凍るように固まってしまった。
……な、なんでこれなんだよぉ!!
「…うわ、何コレ。"ライオン"とか、無理に決まってんじゃん…」
「あたしなんて、"地球外生命体"だって。失格決定だよぉ……」
周りからはそんな溜め息まじりの声が聞こえる。
……私のやつって、まだいいほう…だよね……?
これは、点数を取るチャンスなのかな……。
「…よし」
私は覚悟を決め、拳を強く握りしめる。
深呼吸を一つすると、私は借りるものがある場所へと向かい走った。