第1章 突然の別れ、そして出会い
まだ、幼かった懐かしい記憶
『、危ないぞ。』
『だいじょ~ぶ、木登り得意なんだよ?』
『おい、よそ見をするな!』
『へっ?』
気をとられたは、掛けるべき筈の枝に足を置けずに踏み外した勢いのまま体が宙に投げ出される。はどうする事も出来ず痛みを覚悟し目を固く瞑ったのだが、痛みは愚か温かな感触を背中に感じた
『・・ッ、あ・・れ?』
『おい・・怪我、ないか?』
『筧・・ッ、何で』
『バカ野郎!だから危ないと言っただろ!』
痛みが無く驚いたの下敷きになるように、筧が受け止めてくれたのだと分かると、驚きに身を起こそうとするより早く、筧に腕を掴まれ怒鳴られる。
流石に反省から顔を俯かせたに、筧は溜め息混じりに腕を離すと、その手はの頭を撫でていた
『無茶はするな・・俺がいつも、守ってやれるとは限らないんだぞ』
『筧・・、ごめんなさい』
筧はいつも優しかった
物心付く前から親同士が親しかった事もあり、幼い頃から一緒に遊ぶ時間が多く、活発で明るいとは対称的で落ち着き大人びた印象の強い筧は同じ年ながらもお兄さん的存在だった
そんな彼がアメフトを始めた頃からといる時間は少なくなり、筧もまた優しい印象から徐々に変化が見えてきて、ずっと側にいたは一人心配と不安な気持ちを抱きながらも、筧が好きな事を応援したい思いからアメフトの知識を覚えようと努力していた矢先、彼から突然アメリカ留学の話を持ち出されたのだった
『アメリカ?筧が行くの?』
『ああ、アメフトの本場で自分の実力を試したい』
『試したいって、筧はチームの柱なんだよ?それなのにアメリカへ行くなんて』
『もっとレベルの高いチームで戦いたいんだ』
『!?』
確かに筧はずば抜けた身体能力に加え、日本人離れした恵まれた体から、彼に敵う選手は敵にも味方にもいなかった、だからなのか最近の筧は個人技が多くなり、チームプレイを疎かにしている傾向があり、自身心配していたのだけれど、まさかそんな事を考えていたなんて思ってもおらず、言葉が出てこなかった。