第98章 恋した記憶、愛した事実《19》
…………ふら……………
「…っ……!?」
……バシャンっ………!!!
「……あっ…!やっちゃった……」
立ち上がろうとしたとき、一瞬眩暈が起きて、咄嗟に倒れないようにと、手をつこうとしたら、桶をひっくり返してしまって、中に入った水が飛び散り、せっかく拭いた廊下が水浸しに………
急いで片付けないとと思って、桶を戻して、水を吸った雑巾を桶の中で絞っていると……
「陽菜?どうした?」
頭上から声をかけられて、顔をあげたら、心配そうな表情をした
「あ……秀吉さん…三成くんも……」
秀吉さんと三成くんの姿。
「陽菜様、大丈夫ですか?お召し物が濡れたりなどは……」
「あ、大丈夫。ちょっと眩暈が起きて、桶をひっくり返しちゃって…ごめんなさい。すぐに片付けるね!」
「ここまで水浸しになってたら、一人じゃ大変だ。俺らも手伝う。三成、悪いが新しく雑巾を持って来い。」
「はい。すぐにお持ちします。」
そう言って三成くんは、もと来た道を引き返して早歩きで廊下を歩いていった。