第78章 天邪鬼との愛の料理 ※R18
翌日
「政宗さん。どうぞ。」
御殿に政宗を呼び出し、家康は作った煮物を、政宗と陽菜、自分の前に置く。
政宗は、箸を持ち大根を掴み上げ、じろじろ見る。
「へぇ…、面取りまでしてるのか……」
そう言って、大根を口に入れ、何度か咀嚼する。
「どう?政宗……」
作った家康より、横で手を出さずに見守っていた陽菜の方が、ドキドキしている。
政宗は咀嚼して飲み込むと、じっと家康の顔を見て
「家康。旨いじゃねぇか。」
「!!良かったね!家康!」
ニカッと笑った政宗に、陽菜はすぐに家康へと振り向き、満面の笑顔を見せる。
「これ、一回冷ましたのか?かなり味が染みてる。」
「そうです。陽菜に言われて、昨日練習で作ったやつを、冷ましてから食べたら美味しかったんで。」
あのあと、陽菜が目覚めてから、二人は冷めた煮物を食べた。陽菜の言ったとおり味が染みて、美味しかったので、今日も政宗が来る前から家康は煮物を作り、冷めた頃合いに政宗が来て、温めなおして出したのだった。
「どうだ?初めて料理を作った感想は。なかなか大変だっただろ?」
「そうですね。政宗さんと陽菜が、こんなに沢山の作業しながら作ってるとは思いませんでした。」
「だろ。作り手の気持ちもわかったことだし、これでお前の唐辛子も……」
「いえ。作る大変さはわかりましたけど、一切かけないとは言ってません。」
政宗の言葉を無視して、自分の器の煮物に大量に唐辛子をかけ、家康はモクモク食べだす。
「は?おい!前と変わってねーじゃねーか!」
「政宗さんは作り手の気持ちを解れ。と言っただけでしょう。お陰で陽菜が丹精こめて作ってくれてることがわかりました。なので感謝しています。」
「家康が作ったの、やっぱり食べるの勿体ないよ……」
なかなか箸を持たない陽菜に、家康が陽菜の手を握り
「また、作ってあげるから。陽菜のために。」
「え?いいの?」
「うん。また、一緒に作るのでもいいし。」
「ほんと!?約束ね!」
「うん。約束する。」
政宗の存在を忘れ、甘い雰囲気をさらす二人。そんな二人に政宗は、ため息を溢していた。
~完~