第73章 ~if~『武将の委員会』
「香菜、ご苦労だったな。貴様に褒美をやろう。」
「え?いえ。遅くなってしまいましたし…」
「気にするな。こちらへ来い」
言われた通り、信長に近づく香菜
グイっ!
「んっ!?」
「「「「「「!?!?」」」」」」
「褒美だ」
ニヤリと笑う信長に……
「の…!信長様!!」
「なんだ。秀吉?」
いち早く反応する秀吉。
「い、い、今、香菜の口に…………」
「あぁ……
金米糖だ。」
カリ……っ
香菜の口の中で、金米糖が噛まれた音がした。
「信長様!あれほど金米糖を隠し持つのは駄目だと言っているではないですか!!」
秀吉のお小言が始まった。
「おい。あれが始まったぞ。」
「俺たちはいつ飯が食えるんだ?」
「やっぱり風紀委員じゃん……」
「ふうきいいん?」
「えっと……規則とかを取り締まる係のことだよ。」
「いいですか!甘味の摂りすぎは、お身体に障ります!」
秀吉のお小言を受けているが、信長は聞き流す。
もうよい。と言うが、隠し持った金米糖、そして信長の手で恋人の口に入れた……つまり唇に触れたことが、秀吉のお小言をヒートアップさせてしまったようだ。
主君が箸をつけないため、陽菜たちはお腹を空かし、膳の上の食事はだんだん冷めていく。
「「「「「(お腹すいた……)」」」」」
5人はこう思っているが、香菜は
「(やっぱり、信長様の身体を心配してるから、秀吉さんは学級委員だよ)」
口に広がる金米糖の甘味を感じながら、恋人の姿をじっと見ていた。
~完~