第70章 恋から愛へ《29》家康side
「ごちそうさま。美味しかったよ。」
陽菜にお礼を言う。
「どういたしまして!家康の口に合って良かった。また作るね!」
「無理しなくていいから。機会があるときでいいよ。」
「じゃあ、それまでに料理の腕あげとく!」
「(もう充分すごいんだけど……)楽しみにしてる。」
その言葉に、満面の笑顔を陽菜は見せてくれた。
片付けた重箱と敷物を木の根元に置き、陽菜と手を繋いで、舟乗り場まで向かった。
静かな湖の上、陸からある程度離れたから、一旦舟を漕ぐのをやめる。
そよそよと風が吹き、陽菜のきれいな黒髪がふわりと靡く。
「……家康、あっち見て。キラキラ光って綺麗。」
陽菜が指差す方へ向くと、水面が陽に反射してキラキラ光っている。
正直、今までこういうのを見ても、何も思わなかったけど、今は素直に綺麗だな。と思う。
でも……
「陽菜の方が綺麗だけど。」
思ったままを伝える。