第2章 はじまり、そして出会い
……パチ……パチパチ………
「………ん………」
「……あれ?……ここ……」
さっきまで外にいたのに、なんで室内に?
それより………なんか煙たい……………
……まさか…
「「火事!!??」」
「陽菜、早くここから出ないと…」
「うん。」
キラッ…
え?
振り返った先に見えたのは
座って寝ている鎧姿の男に向かって
振り上げられた刀
「危ない!!」
「!?」
「?………貴様は誰だ…」
「自己紹介はあとでします!とりあえずここから出ないと!」
「陽菜!早く!」
「うん!」
「「……はぁ…はぁ…」」
「(………お寺みたいな建物、かなり燃えてる……)」
「寺の坊主と密通していた遊女達だろうが、どうやら俺は貴様らに助けられたようだな。礼を言う。」
「「へ?ゆうじょ?」」
ゆうじょって?…ていうか、この人だいぶ変わった格好してるけど………
「何を呆けた顔をしている。俺の名は知っているだろ。」
「いえ、知りませんが…」
「知らずに助けたのか。てっきり褒美目当てかと思ったが…知らぬなら教えてやろう。
俺の名は安土城城主『織田信長』だ。」
…………おだ……のぶなが…………?
思わずお姉ちゃんの方を見るとポカーンと口が開いてる。
こうなるとお姉ちゃんはどうにもならない。
私はあたりを見回すと《本能寺》の文字が見えた。
「あの…つかぬことを聞きますが…今は何年でしょうか…?」
「?天正10年だが、それがどうした?」
……………平成じゃない?
…………燃えてる本能寺
………『織田信長』と名乗る男
……もしかして、今この瞬間って…………
《本能寺の変》真っ最中!!??
…フラ……
「!?お姉ちゃん!大丈夫!?」
「…大丈夫…ちょっとめまいがしただけだから…」
ふらついたお姉ちゃんの身体を支えた。顔色も悪くなってる。どこかで休ませないと…
「俺が名乗ったのだから、貴様らも名乗れ」
「…姉の香菜です…」
「…妹の陽菜です…」
「香菜に陽菜か。悪くない響きの名だ。」
「「はい?」」
「信長様!!!!」