第35章 想い溢れる恋《6》家康side
「なんでもなっ…ゴホっ、ゴホっ…」
三人が襖を開ける前に勢いよく離れた俺たち。
陽菜は掛布を胸下ぐらいまで上げ、風邪で本当に咳き込み、目元をゴシゴシ擦る
俺は、陽菜の横に座り、顔を背け、咳き込む
「家康も風邪か?」
「違います。唾がちょっと変なとこに入っただけです…コホ…」
横目で三人を見ると、なんとなくニヤニヤしている風にみえなくもない
「(もしかして見られたのか…?)」
疑問に思う
「まぁ、いい。陽菜、雑炊作ってきたぞ。食えるか?」
「着替え持ってきたから、後で着替えなよ」
「まだ、あんまり顔色がよくないな。ゆっくり休めよ」
膳を置いて、雑炊をお碗に入れる政宗さん
着替えを置いて、俺とは反対側に座る香菜
香菜の横に座り、陽菜の顔色を心配する秀吉さん。
「…ありがど…」
政宗さんからお碗を受け取り、ふぅふぅと息をかけ、冷ましながら、陽菜は雑炊をゆっくりと食べていく。