第34章 想い溢れる恋《5》
「自分のごと、そんな風に…ぜめないで…」
家康の生き方は強い。
心も強い。
家康は弱くない
「いえやずは、弱く、なぃ」
「え…?」
「わだしは、っ…ぃえっ、やずに、たずけ、てもらっ…
ぃえやず、がっ、ごなかっだ…ら……っく…」
家康が来なかったら、私は間違いなく…あの男達に……
喉が痛いのと、鼻が詰まってるのと、涙とで、言いたいことが上手に伝わらない……
「だがら…っ自分のごど、ぞんな、ふうにっ、言わな、いで…」
抱きしめていた腕を解き、家康の着物の胸元を握りしめる。
思いがせり上がってきて、涙は止まらず、家康の胸元をどんどん濡らしていく。
家康の心に少し触れれて、家康がこんなにも自分を追い込んでると辛い。
一度、涙が出ると、どんどん溢れだし、顔をあげれる状態じゃなくなった。
「…陽菜…」
家康の手が頬に触れて、私の顔を上へ向かせ、
涙で溢れた目の淵を、長い指先が拭い
涙が伝った頬を、優しく指で拭いて
「陽菜……」
目元を赤くした家康の顔が近づいてきた