第4章 動き始めた恋心〈2〉
戦に出陣する日の朝
今回の戦には政宗・家康さん・三成くんが出陣することになり、お姉ちゃんと信長様、秀吉さんが門のところまでお見送りに来てくれた。
光秀さんは、仕事で安土を離れているらしい。
「陽菜、お守り持った?」
「うん!ちゃんと持ったよ!」
「陽菜、しっかり我が軍を勝利に導け」
「陽菜、気をつけてな。絶対に無茶はするなよ。あと休めるときはしっかり休め。それから……」
「秀吉さん、そろそろ出陣なんですけど…」
馬を引き連れた家康さんから声がかかる
「あ、そうだな。陽菜、無事に戻ってくるのを香菜と待ってるからな」
頭をポンポンと撫でられた。
「陽菜、俺の馬に一緒に乗れ」
政宗にそう声をかけられたが、
「あ、うん。でも薬のことでわからないとこがあるから、移動中、家康さんに教えてもらいたいんだけど……」
自主勉強していたときに、わからないとこが何点かあったから、移動中に聞いておきたい。
「そうか。それなら家康の馬に乗せてもらえ」
「「へっ!?」」
家康さんの声と被ったが政宗は無視して
「帰りは俺の馬に乗れよ」
ニカッと政宗は笑って馬に乗り、前の方に歩いて行った
「……………」
「……はぁ」
家康さんはため息を吐きながら馬に乗った。
「……すみません…」
「いいから早く乗って」
手を差し伸べてもらい馬上に引き上げてもらった。
「っ!!(近い!!)」
いつも文机を挟んでの距離でいたから、あまりの近さに顔が赤くなり、心臓の音もいつもより速く大きい気がする。
政宗が出陣の掛け声をしていたが、それよりも自分の心臓の音の方が大きく感じた。
出陣してすぐに
「で、何がわからないの?」と声がかかり
「あ!えっとですね……」
わからなかったところをメモした紙を懐から出し、家康さんに聞く。
「あぁ、それは……」
家康さんはいたって普段通り。
緊張しているのは自分だけだと思うと恥ずかしい。しかも、今から戦に向かうのだから、こんな気持ちでいる自分がおかしいのだ。
私は気持ちを落ち着けるように、家康さんに質問しまくり、家康さんからの説明をしっかり聞く。
時間が経つと、顔が赤いのも心臓の音も落ち着いてはきていたが、それでも普段より心臓の音は少し速かった。