第23章 近くて遠い恋《9》家康side
昨日、陽菜と薬学の勉強をすると約束し、今日中にある程度の仕事と《大事な用》を終わらせたかったのだが………
仕事が進まない………
「秀吉さん、いい加減帰ってくれませんか…?仕事が進まないんですけど……」
「う…まだ動けそうにない……家康、ほんとにこの薬効いてるのか…」
昨日の宴で、酒に酔った秀吉さん。
二日酔いがひどく、朝から俺の御殿にやってきて、薬を調合してくれ。と頼み込んできた。
「俺が調合してるんです。よく効くに決まってるでしょ」
「それにしても頭痛は治まらないぞ……胸の痛みも酷くなってる気がする……」
頭痛は二日酔いが原因。
胸の痛みは、昨日、何か……特に香菜に何かやらかしたのでは?とあまり覚えていないらしく、ソワソワと焦っているから。
誰に聞こうかと悩み、光秀さんと政宗さんは充てにならない。三成も的はずれなこと言われそうだし、信長様に聞くのはもっての他!それに視察で居ない!と言い、消去法で俺になり、何があったか聞いてくる。
「心配しなくても頭痛はそのうち治まります。胸の方は俺では治せないので、直接香菜に聞いたらどうですか?」
「こんな醜態さらして聞けるわけないだろ……」
「昨日、散々醜態をさらしてるんですから、一緒じゃないですか。それに香菜とくっついたんでしょ?」
「………」
「?秀吉さん?」
目は見開いて、口もポカンと開いている。
普段の色男の姿はなく、正直今は間抜けな顔にしか見えない。