第2章 勧誘
いつもと違う状況での愛行に何度も身体を重ねた。
何度も果てた身体は限界に達しそうだった。
「牛島っ…せんっせいっ…もっ…」
「若利と呼べ」
背筋がゾクリとした。
低く腹に響く声。
「若っ利…」
唇をきつく吸われる。
自分で紡いだ彼の名前が身体を更に熱くした。
「羽音っ…好きだ」
何度目かの彼の欲望が体の中へ放出されて、全身が痺れと快感で包まれる。
息を切らしたままベッドに沈み込んだ彼の身体に再び抱き付いた。
牛島先生のベッドは大きくてフカフカの寝具…私の安いベッドとは雲泥の差。
行為の後は、彼のベッドの中で抱き合ったままキスを交わす。
「嫉妬深いだろうか?」
「嬉しいです」
彼の胸に顔を埋めた。
「私のことを思っていてくれることがとても嬉しいです」
「俺は医者として腕はよいかもしれないが、人として欠けている所があると、天童によく言われる」
その話に、天童さんの様子を思い浮かべて小さく吹き出した。
「おかしいか?」
「天童さんは面白い人ですね」
「あぁ、俺もそう思う」
それにしても、腕は良いと自分で断言できるなんてなんて自信の持ち主なのだろうか…しかし、そう言う人でなければ病院のエースなどとは呼んでもらえないのだろうと思う。
「羽音。これからも俺の傍にいてくれ」
行為中の命令とは違い、願いごとの様に優しい問いかけ。
「もちろんです」
幸せに包まれながら夜明けに向かい眠りに就いた。