第3章 オペナース
チーム木兎のオペを3日後に控えた日の午後、第3カンファレンス室ではオペ前の最後のカンファレンスが開催されていた。
実はチームに入るのは初めてで、いったいどんな感じなのだろうかと緊張していたが、さすが木兎先生とでもいうのか、カンファレンスもとても自由な感じであった。
並べられたお菓子とジュースに首を傾げる。
「お好きなのどうぞ」
紙コップを配りながら赤葦さんが声を掛けてくれた。
「カンファって言っても、確認事項いくつか…って感じだから緊張しなくて大丈夫だよ」
隣に座った薬剤師の小見さんも手近にあるおせんべいを頬張りながら話してくる。
「木兎、腕は一人前だけどバカだからな」
スマホゲームをしているのは、工学技士の二口くん。
部屋の隅の方にいる私の後輩たちの方が緊張しているようである。
しばらくして、木兎先生と助手の鷲尾先生、猿杙先生。
続いて、麻酔科の木葉先生と臨床工学技士の夜久さんが入ってきた。
二口くんは、バカだと言っていたがやっぱり木兎先生は心臓班のエースだ。
説明も分かりやすいし丁寧である。
オペ前のチームカンファレンスはもっと仰々しいのかと思っていたものの、あっという間に終ってしまい。
最後の方は雑談の場と化していた。
「こういう雰囲気作りみたいなのも大切だと思うんですよね」
「馴れ合いじゃねぇけどさ、チームワークって大事だろ?」
お茶を豪快に飲みながらわらう木兎先生と赤葦さんは、本当に良いコンビに見える。
「よしっ、そろそろ行くか~」
木兎先生が立ち上がり、本日のカンファレンスの終了を告げる。
赤葦さんに、部屋の片づけは自分がすることを伝えて先に退室してもらった。
このくらいのことはしないと…。