第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【Girl Gone Wild】
「あ~、ごめんね?
まだ飲めないんだった。
……ジュース頼んであげるね」
……コイツ、ワザとだ
自分の彼女が、俺をカッコイイって言ったのが、気にいらないって?
こんな店で、未成年が酒なんて飲んでるのバレたらどうする気だよ
自分の彼女だってヤバいだろ
「えと……松本くんだっけ?
門限あるって聞いたんだけど、まじ?」
「……はぁ?」
「今日は大丈夫なの?」
何で俺の事知ってんだよ
隣に座ったミキを、一瞬だけ見やると
バツが悪そうに目線を逸らした
「大丈夫ですよ。
わざわざ心配して下さって、ありがとうございます」
張り倒したい衝動を抑えて、笑顔でそう言うと
ソイツはあからさまに嫌な顔を見せた
俺がブチ切れて、
挑発に乗るとでも思ったワケ?
高校生相手に張り合う、
バカなヤツなんか相手にしてられっか
俺が邪魔なんだよね
安心しろよ
まじ、くだらねえ
「ミキ、帰るぞ」
「ちょっ、潤!?」
返事も聞かずに、
彼女の手首を掴むと……
戸惑ったように、俺を見上げた
なんだよ
お前、本気で楽しいと思ってんの?
普段来れないような店に来たからって、何浮かれてんだよ
「ミキちゃん、せっかくオシャレしてきたのにね~?
松本くんは、門限あるから帰るのかな?
早く帰んないとママに怒られるよね(笑)」
言う通りにしないミキにも
ムカつく大学生にも
クラブミュージックの爆音にも
すべてが神経を逆撫でする
信用してると言ってくれた翔に嘘までついて
俺、………何やってんだ
ぎゅっと拳を握り……
罪悪感と後悔ばかりが頭を巡る
それでも、
ミキの立場もわかってたつもりだったから、必死で落ち着こうとした
だけど、
ソイツは自分の彼女の目の前で、
気にもせず、ミキの肩に触れた
下心があるのは
……その目で直ぐわかる
「ミキちゃんは俺が送ってやるから、先に帰ったらいいよ」
その一言で
ブチっと
確実に………キレた
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