第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【異空間】
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「………なぁ、どういうこと?」
耳をつんざくような音楽
薄暗い店内
露出度の高い服を纏った女達
艶めかしくそれを演出するライト
別世界みたいに煌びやかなフロアを、他人事みたいに眺めながら
苛立つ気持ちを抑え、ミキに尋ねた
「怒ってるの?」
「……怒ってないよ。
ただ聞いてないんだけど俺」
「だから、私も知らなかったんだって」
フロアの片隅
段差のあるスペースに並べられた革張りの黒いソファー
一番端に並んで座ったミキは、そう言って謝るけど……
知らなかった割に、
場所相応の派手なカッコしてんだな
メイクだって、いつもよりだいぶ濃いしね
彼女に連れられてきたクラブ
そうだよ
夜だって時点で怪しかったんだ
カラオケかなんかに行くんだろなって思って、詳しく聞いてなかったけど……
「そんな顔しないでよ。
友達の前なんだから……
あのね、潤のことカッコイイって」
「あっそ……」
何が何だかわからないうちに、自己紹介が始まって……
ミキの友達だという女の子が
俺を品定めするように、ジロジロと眺めた後
上目遣いで話し掛けて来た
それに気付いた隣の男が、敵意の眼差しを向ける
やたらキザな男
どうやら、コイツが通ってる店らしく、得意げに案内された
親がナンとかって会社の社長で?
大学生だっていうし
自慢したかったんだろうけど……
だからって高校生を、こんな高そうなクラブに誘ってどうするよ
いくら化粧濃くしたってさ……違和感あんだって
そりゃ、似たようなヤツが、ココには溢れてるけど
いい気がしないまま、
目の前に置かれたグラスを手に取って
何の疑いもなく傾けたそれは……
「っ!?……ゴホッ……」
……完璧、アルコールじゃん
ナンだ、コレ
ジワジワと喉が焼けるように熱くなってきて
咽せながら、グラスをテーブルに戻すと
そんな俺を見て、
目の前の男が、大袈裟にリアクションした
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