第2章 *:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽
【さよならの背中 1】
昼前に電話して、今晩会いたいだなんて
急かなとも思ったけど
変に悩ませて、考える時間を与えるよりは、勢いに任せた方が最善な気はした
どちらにしても、
答えは出てる話をするから、意味なんてないのだけど……
それに、"二宮に許可貰ってる"だなんて、
もう来るしかないだろって、アイツを追い詰めてるようなもんだ
狡いよな
久しぶりに再会した時
数分言葉を交わしただけで、
隠し続けた感情が一気に溢れた
もう一生、表に出すことなんてないと思ってたのに……
約束は22時
腕時計を覗くと、15分過ぎていた
ひとりでよく来るBAR
地下にある隠れ家のようなそこは
口数の少ないマスターが、美味い酒を作ってくれる
誰にも教えたことなかったのに
直ぐに此処が浮かんだ
焼きそばパンや、
学食のカレーを、幸せそうに食べてたアイツを思い出して、
場違いな感情だってわかってるのに
気に入ってくれるかな、なんて思う自分がいる
扉が開く度に鳴る、ドアベルの音に異常反応して、
何度目かに向けた視線が、漸くぶつかった
緊張を浮かべた笑顔でも、
沸き上がる感情は、複雑な感情よりも、嬉しさが殆どだった
「遅くなってごめんね」
雅紀が隣に座った事実だけで、
頭に並べてた会話が、
全部真っ白になった
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