第2章 *:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽
【秘密 1】
「……ただいま」
外とたいして変わらない冷たい空間に、空しく響く声
暗い玄関のスイッチを入れると
いつも置いたままの靴が、そこにはなかった
誰もいないのは、
すぐにわかってたけど
朝、顔を合わせた時、
出掛けるなんて、何にも言ってなかったよね
何だろう……
今までだって、
こういうことはあったのに、変な胸騒ぎがした
気のせいかな……うん。きっと情緒不安定だからだ
コートも脱がないまま、ソファーに腰を下ろし
連絡もなしに、バイトを休んだ潤くんの事が頭に浮かぶ
いくら仕方なかったにしても、あんなやり方酷すぎるよね
傷付いただろうな……
カズは、俺が泣くから
"大丈夫だよ"って、抱き締めてくれたけど……
泣きそうな潤くんの顔が、脳裏から離れなくて……
自分勝手に起こした行動に、今更後悔してた
俺がどう思われようと構わないけど、
あれだけ慕ってくれた潤くんにたいして残酷だよね
でも、
いくら後悔したって、元には戻らないし
あの、哀しい過去を知られないで済むなら、やっぱりこれで良かったんだ
自然と漏れたため息が、宙に溶ける
そのまま立ち上がると、キッチンへ向かい
冷蔵庫を開けた
良く冷えた缶ビールを取り出し、プルタブを開けた
勢い良く傾けると、
口端から液体が溢れて、すぐに腕で拭った
不思議でならなかった
どうしてしょーちゃんは、潤くんに過去を話してしまったんだろう
知られたくなかったに決まってる
隠せなくなったのか
それとも他に、そうせざるを得ない理由があった?
あっという間に空になった缶をテーブルに置くと、次の缶を取り出す
ズルいね
酔ってしまえば、
少しでも考えずに済むからって
逃げようとするなんて
ペタンと床に胡座をかいて
次々に空いた缶をタワーにした
視点も曖昧で、
意識も虚ろになった時
「なーにしてんすか……」
呆れた顔をしたカズが、後ろに立ってた
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