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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第2章 *:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽


【侵食 2】





こんな無防備な姿を見るとは思わなかった



コイツは、過去に囚われ、
復讐だけに生きていた時も



終止符を打てたように思えた、病院で最後に話した時も



どこか、芯の通った
プライドみたいなものを感じていたから……



乗り越えて、きちんと前を向いて行けるのだと



新しい道を歩んでいるのだと、そう信じてた







そう思わせたのは、



ヤツの、精一杯のプライドで



本当はもう、
ギリギリの精神力しか持ち合わせていなかったのかも知れない






ぶつかる視線が離せなくて


少しでも気を抜けば
戸惑いに気付かれてしまいそうで



必死に平静を装った







「……頼む」







悲痛に懇願する表情



こんな櫻井を、俺は知らない






雅紀に黙って、代わりに来たんだ



それなのに櫻井は責めることなく、俺に頭を下げる






確かだった決意が、揺らぎそうになった








「1度…だけ…」





イエスの意味を為さない、呟いただけ俺の台詞


櫻井に対してじゃない、
自分自身に問い掛けてる





わかってるよ

本当は俺が決める事じゃないことくらい






電話を受けたのが雅紀なら、

間違いなく会ってるはずだから








「………アイツに直接聞いて?

俺が返事すんの変でしょ」


「……」






本当は、連絡なんかして欲しくない



あれから…雅紀といるけどね


もちろん幸せだけど、
アイツはずっと、胸の奥でアンタを気にしてる




愛情じゃないにしてもね



近くにいる分、
それを誰よりわかるから




やっぱり心中穏やかじゃない






「ありがとう。

そうするよ」






流し込むシャンデーガフを、オーダーミスだと不意に思う


もうちょっと強い酒でも飲めば、


勢いで感情のままに向き合えたのかも知れない





冷静であろうなんて、考える事自体


捨て身で頭を下げる櫻井には、到底勝てなかったんだ







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