第2章 *:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽
【救世主】
その声は…
まさに俺の待ち人で
足元から辿るように、下から見上げると
一瞬、驚いた顔をして
俺に乗っかった黒服を退かし、
脇から抱き抱えるように、身体を引き上げてくれた
「キミ、何してんの?(笑)」
ちょっと面白がったような、呆れた顔
半泣きだったのを誤魔化して、必死に平気なフリをする
「大野さん!」
「働いてくれんの?」
可笑しそうに笑った後、
後ろの客に振り返ると、
落ち着いたトーンで話し始めた
「すみません。
ちょっとした手違いで……
コイツはまだ、店に出れるような教育が出来てないんですよ」
そう言っただけなのに、
不思議と、何も言い返せないオーラがある
すっかりその気だった客も、拍子抜けするほど呆気なく納得してくれた
「…にしても、似合ってるよね」
事務所の一角にある応接セットのソファーに座って……
カチカチライターを鳴らしながら、大野さんはまだ笑ってる
「あの……ってか、
状況が理解出来てないんですけど?」
無理矢理着せられたスーツを睨みながら、苛つきを隠せない
「状況ねぇ…
見たまんまだよ?(笑)
まぁ、今日から来るはずだった新人とキミを間違えちゃったのは、申し訳なかったけどね」
こんなの、現実で…
しかも、こんな間近で…?
「そんな考え込むなって…ね?
とにかくさ?ここで見たことは内緒だよ?」
「でも…っ」
さっき見た、喘いでた男
見るからに未成年だった気がするけど……
すると、大野さんは、
俺の考えていたことなんて解りきってる様に
急に、真面目な顔をして俺を見据えた
「潤くん、
人にはね、
こーゆう裏の世界でしか生きれないヤツもいるんだよ」
静かに放たれた言葉が
胸の奥に刺さる
静寂の中
水面の拡がる波紋のように……
少しずつ、それは浸透してく
"裏の世界でしか、生きれないヤツ"
大野さんもそうなのかと
そして、少しだけ垣間見た気がした
この店に来ている翔も、
そうなのだろうか
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