第2章 *:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽
【欠けた月 3】
「あのさ…
俺……全部聞いたんだ」
「………」
「雅紀さんに、昔の事全部」
ゴクリと唾を飲み込んで、
黙って俺を見ている翔に、そうカマを掛けた
翔がベラベラ話すとは思ってないけど……
少しくらい、自分の事を話してくれたらと思った
過去に何があって、
どうして、俺を引き取ったのか
何故、誰とも付き合わないのか
俺のために、そうしているのか
グラスの水をグイッと口に含み
小さく息を漏らした翔は……
その気になったのか、
真っ直ぐに視線を合わせた
「全部、聞いたの?
……そう」
「……じゃあ俺が、
無理矢理アイツを抱いたコトも?」
「え……?」
「それとも、父親を殺した事?」
淡々と言うには、
あまりにも衝撃的な告白
張り詰めた空気よりも、
冷たい潤の瞳
何も言葉が出ないだけじゃない
頭の中が真っ白になって……身動きさえ取れなかった
「あとは…?なに?」
それだけか?、とでも言うように
翔はテーブルに置いたボックスを手に取り
取り出した煙草に火を点け、冷ややかな視線を送る
アイツ…って、雅紀さん?
父親を……殺した?
有り得ない、よな
冗談にするには、あまりにも悪趣味だ
だけど……
翔の視線に耐えきれなくて……
どうにか、作り笑いで誤魔化そうとしたけれど
翔の表情は、何も変わらなかった
・