第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【醒めてみる夢】
「ねぇ…?
今日も早く帰んないでいいの?」
個室のソファーに腰を下ろして
ジャケットを脱ぎ、ネクタイを軽く緩めた
溶け始めたロックアイスに、ウイスキーのボトルを傾ける
「なんで?
んな事、聞くの?」
掴みかけたグラスを、横からヒョイと奪い
マドラー替わりに指で掻き混ぜると俺に渡して、
……指先を舐めた
「うん?
可愛いなぁ~って思ったからさ?」
「何の話?」
「……内緒」
「はぁ?」
全く意味のわからない会話をしながら、琥珀色の液体を喉に流し込む
「なんか、急用だった?
来るの遅かったじゃん」
「ナニそれ?
せっかちだねぇ(笑)」
こうしてに会話してる時は
本当に普通、なのにな
「んじゃ、待たせた分
今日はサービスしようかな」
俺の脚を跨ぎ、
緩んだネクタイを抜き取る
グラスをテーブルに戻すと
綺麗な指が、
シャツのボタンを弾いてくのを黙って見てた
「翔くんてさ~
見た目は優しそうなのに、かなりSだよね」
「ソンナコトないでしょ」
「自覚なしかよ(笑)」
露わになった胸元に、
濡れた舌が這い……
さっきまでとはまるで違う妖艶な笑みに、
……ゾクリとする
「ね……
翔くんのさぁ?大事な子、なんだけど」
「………」
「……って、"誰が"浮かんだ?(笑)」
さっきから何が言いたいんだよ
こんなに喋るなんて滅多にないのに……
「あのさ?
お喋りはイイから、早くシてよ」
中身の見えない会話に
苛立ちが隠せない
「あ……
怒っちゃった?
ゴメンゴメン」
クスクス笑いながら、
器用にベルトを抜き取り、
躊躇なく、ファスナーが下ろされた
直ぐに、生暖かい感触に包まれ、舌が絡まる
沈んだ頭に手を添え
柔らかな髪に指を埋めた
首を逸らし、
押し寄せる波に素直に身を任せると
快感だけで、……満たされる
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