第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【インナーワールド 2】
一度だけ入った事があると言っても
ミキと来た時は、
ムカつく男が一緒だったから
そこまでちゃんと、店ん中を見ていない
外観のイメージそのままに、
高級ホテルのロビーを思わせるフロアは、たくさんの人で賑わっていた
薄暗い照明に浮かぶ人の顔を、目が合わないように眺めながら、
翔を探して……その人の後ろ姿をついて歩く
連れられた場所は、この前のフロアの雰囲気とはガラリと違う
照明も客層も……ずっと落ち着いてる
「最近は色々厳しくなっちゃってさぁ…
需要と供給っつうの?
格付け…まぁ、お客様に合わせた部屋、用意してんだよね」
「……へえ」
あのムカつくオトコは、コチラ側には入れなかったってこと?(笑)
それにしても、まだ若いのにさ
こんな店のオーナーなんて凄すぎない?
オーラがあるっていうか……特別なものを感じてた
それは俺だけじゃないのは明らかで……
黒服だけじゃない
煌びやかに飾り立てた金持ち達が、わかりやすく目の色を変える
声を掛けられる度に、会釈して、颯爽と歩く姿は、男でも惚れ惚れした
同時に、ジロジロ見られてる気がして
慣れない雰囲気と居心地の悪さに、
とりあえず愛想笑いを浮かべて、ただ後ろについて歩いた
「さてと、……なんか飲む?」
フロアの片隅
バーカウンターに並んだ椅子の1つに座らされ
とりあえず、頷く
「潤くんは、
オレンジジュースでいいかな?」
「あ…はい」
「アイスクリームもあるよ?」
「イヤ…大丈夫です」
苦笑いした俺に吹き出しながら、
自分は高そうなボトルをバーテンダーに指差す
「……で、なんか用かな?
まさか、俺に会いに来たとか?」
茶色い液体の入ったグラスを傾けながら、その人は笑った
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