第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【懐疑】
「……ただいま」
鍵を開け、ドアを開けた瞬間
真っ暗な玄関と、
押し寄せた冷たい空気に
自然と溜め息が漏れた
誰もいないリビングの明かりを点け、
冷え切った部屋を暖めようと、暖房器具を順々オンにする
特に気にしてもなかったけど……
今までは何だかんだ言って、週の半分は早く帰って来てたよな
無理してたのも知ってたし
それを待ち望むほど、ガキじゃない
それでも……毎日じゃん?
"あの話"してからさ?
まるで避けるように、帰りが遅い
忙しいんだって、
朝会えば言うだけだけど
抜けきらないアルコールの匂いや疲れた顔が、
やっぱり引っ掛かって……
ほとんど掛けた事もないのに、
確認する……なんて、最低だけど
居てもたってもいらんなかった
「……あ、リエさん?
そう、潤。ね……翔いる?」
「え……事務所にいないの?
……イヤ、どうしても聞きたい事あってさ」
翔の秘書のリエさんが、一緒じゃないなんてさ……?
基本的に仕事中は一緒なのに……
「今日も遅いのかな……
急ぎの様なんだ」
ワザと深刻そうに話したりして、リエさんに訴える
帰宅準備をして出て行ったからと、しばらく考えていたけれど
思い当たる場所を教えてくれた
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