第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【忘れられない 1】
入れ立てのコーヒーを飲みながら、
新聞に目を通す翔を前に
トーストを頬張り様子を窺う
普通ならさ、昨日の再会話で、
もうちょっと盛り上がってもいいだろ
心なしか…
いつも以上に喋らない気もするし
そんなに、高校時代の恋が忘れらんねーの?
それくらい……イイオンナなワケ?
翔と雅紀さんが取り合うなんて相当だろ……
考えれば考える程、興味あるわ……
新聞を捲るタイミングを見計らって、話し始めた
「な?同級生ならさ
卒業アルバムあんだろ?」
「え?」
「やっぱり雅紀さんて、昔から格好良かった?」
ワザとらしいかな
興味あんのは雅紀さんなんだって強調してみたりして……
……その中に、翔の想い人が写ってんだろ
「まぁ……モテてたんじゃない?」
興味なさげに応え、
また、新聞を捲る
「……あ、そう……だよね」
だから、卒業アルバム見てみたいんだって
「お、時間だわ」
新聞をテーブルに置いて、
空のカップをシンクに運ぶ
ジャケットを羽織った翔は、
いつもと変わらない
「今日、遅くなるから。
塩野さんも来てくれる日だし……大丈夫だろ?」
「今更だろ?(笑)
俺をいくつだと思ってんの」
遅くなる事のが多いのに、わざわざ何言ってんだか
翔を見送り、片付けると
俺も準備を始めた
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