第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【うねり】
「最近、ヤケに疲れてんなとは思ってたけどね」
風呂上がりにビールを飲んでる翔に、
話があると、バイトの事を打ち明けた
「学生の本業は勉強だろ?
だけど、小遣いを渡さなかった俺も悪かったと思う」
「……うん?」
「そうさせた責任もあるしさ……今更だけど、小遣い制にするか?」
ビールの缶をテーブルに置いて
翔は、真面目顔で向き合った
確かに、それも理由のひとつだけど
今は、少し違う
「俺さ?自分で決めた事だし、金稼ぎたいだけじゃなくってさ……
ちゃんとやってみたいんだよね」
翔に伝わるよう、
素直に、正直な気持ちを口にした
「……そっか、わかったよ。
やってみたら?でも、これ以上成績落とすなよ」
「……落ちようもないけどね」
呆れたように笑って、
優しい顔を見せてくれたから
ちゃんと理解してくれたんだって思った
「古着屋なんだけどさぁ、
店長がすげーいい人なの」
「へぇ、良かったな」
ビールの缶を掴み、
再度口元に運ぼうとしてる翔に、話し続ける
「雅紀さんってゆーんだけどさ……」
バイト中の会話を、思い出しながら
俺も、冷蔵庫から取り出したサイダーの缶をプシュッ…、と開けた
「シフトも、融通利いてくれて優しいしさ~
見た目もオシャレだしカッコイイの。
……って……翔?」
急に黙り込んだ翔を、一瞬不思議に思ったけど
やっと話せた安心感のが勝って
ゴクゴクと勢い良くサイダーを飲み干した
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