第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【カレーライス】
あんだけ時間掛けて
出来たのカレーライスて……
(予想通りだけども)
野菜の大きさはバラバラだし
ルウはやけに水っぽい
ご飯は堅いしね
モグモグと咀嚼する俺を、翔は睨むように見てる
「……まぁ、こんなもんじゃない?」
翔にしては、
……マシな方だ
「そ、か…。なら良かった」
安堵の顔を見せて、やっと口に運んでる
「………!」
「(笑)」
一口食べて、また俺睨んで……
と思ったら、
申し訳なさそうに眉を下げた
「やっぱセンスないわ、俺」
「今更だろ?
……食えるだけマシだよ?」
過去に作ってくれたメシを、指折り数えると
苦笑いしながら、やめろと言う
「悪いけど、ガキん時から、俺のが上手かったからね?」
「確かにな。
お前に、包丁の持ち方習ったの覚えてるわ」
「"猫の手"ってね」
「そうそう(笑)」
ダイニングテーブルに、向かい合って食事する
今じゃ、俺がデカくなったのと
翔の仕事が忙しいせいで
毎日ってワケにはいかなくなったけど
俺らにとって、
この空間は物凄く特別で
……意味があった
懐かしい記憶を辿るように、
ぎこちなくテーブルを囲んで、
ここに初めて来た日も、カレーを食べたの覚えてるよ
だから、
そん時よりは
だいぶ、上手くなったんじゃない?
「また、リベンジするわ」
「別にいいって」
「お前の~、
勝ち誇った顔がムカつくんだよっ」
ヤケクソみたいにカレーを頬張って、
……変なとこ、ガキだよなぁ
「……とりあえず、
間空けてよね?あと、何日分あるんだよ。……カレー」
それに……ここにいるのだって
あと、どれくらいかわかんないしね
……そう思ったら、
ひとくち頬張る度
なんとも言えない気持ちになった
・