第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【Stand Up !】
「い、いらっしゃいませっ」
店内に入って来た女の子に声を掛けると、
ボリュームの大きさと、
上擦った声に、クスクスと笑われてしまった
………やっぱ慣れないから、"テレ"が入って……仕方ねぇ
「ふふっ、大丈夫だって!すぐ慣れるから~」
うなだれた俺に気付いたのか、俺の背後で、相葉さんがクスクス笑ってる
「……はい。
頑張り、ます///」
人生初のバイト
昨日決まった古着屋の店員
気合いは充分
張り切って来たものの、
なかなか上手く声が出ない
平日、夕方からの店は、
相葉さん曰わく……
学生や仕事帰りのお客様が立ち寄るものの、
わりと落ち着いてて、
混雑する事はほとんどないって……
だから、相葉さんが
中の仕事をいろいろしてる間に店番するのが、俺の仕事なんだけど……
「とりあえず、潤くん、この棚整理してくれる?」
運んで来たダンボール箱を開いて、
俺に笑顔を向けた相葉さんに、頷きながら近寄ると
ずっと言い出そうとしてた事を切り出した
「あの、相葉さん……
"ジュン"でいいですよ」
相葉さんが、他のスタッフを名前で呼んでるのに気付いて……
早く、みんなに打ち解けたかったし、そうして欲しいと思った
「そう?……んじゃあ、ジュンくんね♪俺もマサキでいいよ?」
「えっ!……俺も、すか?」
相葉さんはそう言ってはくれるけど……店長だしさ……
さすがに呼び捨てはないでしょ
「じゃ、あの、マ、サキさんで」
「うん。わかった~、じゃ、よろしく~」
つられるように笑って、
棚の整理を始めた
ジュークボックスから流れるデヴィッドボウイに合わせて、
雅紀さんの歌が聞こえてくる
特徴ある柔らかい声に
雅紀さんの人柄が溢れてて
さっきまでの緊張が解れてく
「いらっしゃいませ~」
店に入って来たカップルに
さっきよりかは
マトモに声を出せた
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