第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【めぐり逢い】
「潤ってば~、あんな簡単に決めちゃって良かったの?
……時給だって、ちゃんと聞いてないのに?」
「あ~、ホントだ」
足取り軽く店を後にして、鼻歌だって、出てきそうな気分だった
バイトを即決したもんだから、
ミキが心配そうに聞いてくる
「でもさ!雰囲気良かったじゃん?ほら、店長さんも優しそうだし」
「たしかにそーだけど…」
まぁまぁって、繋いだ手にキュッと力を込めると……
ミキは体を寄せ、仕方無さそうに笑ってくれた
放課後、3時間のバイト
休みの日もシフト組んでくれるって言うし……
好きな服に囲まれて稼げるなんて最高じゃん
「だから、これからデートする時間少なくなると思うけど
……ゴメンな?」
「寂しいけど…
一人暮らしの為だもんね!我慢する」
にっこり笑うミキの頭を撫でると、
そのまま体を引き寄せ、啄むようなキスをした
「……頑張ってね」
「おう」
繋いだ手を揺らして
可愛く微笑むミキを、愛しく思う
俺の側には、いつもミキがいて
こうしてずっと、笑ってくれるんだと思ってた
まさか、このバイトが……
この出会いが……
すべての歯車を狂わすことになるなんて
……思ってもなかったんだ
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