第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――
【いつまでも】
会話の中、不意に出てきた雅紀の名前にも
何の蟠りもなく、受け止められる
時間だけで解決出来ない滞りを、あの出来事が浄化してくれたと思う
静かに穏やかに、
毎日が過ぎていく
今は素直に、ふたりには幸せになって欲しい
「さてと、そろそろ寝ようかなっ……」
「もう寝んの?」
「ああ。明日も仕事だしな」
考え込むような素振りの潤を、不思議に思いながら、
とりあえず、冷蔵庫からペットボトルを取り出し、表情を伺う
蓋を開け、傾けかけた時……
「翔…」
「……どした?」
急に真剣な顔で近付いてくるから、
変に身構えてしまう
ナンだよ。値上がりしてやんなかったの、まだ根に持ってんのか
「あのさ?」
「うん?」
一歩近付いて、
ふわりと香る潤の匂い
掠める柔らかい髪
「……」
あまりに突然で
一体、何が起きたのか
「へ?」
「じゃ、俺っ
先に寝るわっ」
目も合わせず、
逃げるように離れた潤を
慌てて呼び止める
「ちょっ?おいっ!待てよ、潤!」
ペットボトルも床に落とし、
慌てて拾おうにも、
もう時既に遅し…状態
だけど、零れた水よりも気になる視線の先の存在は
振り返りもせず、
ピタリと足を止めた
背中を向けたまま、早口で捲し立てる
「ずっとずっと考えてたんだ。
いろんなこと、俺なりにさ。
その、大野さんや、雅紀さんとの事も……」
確かに触れた唇に、
思わず、指先で触れた
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