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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――


【偽りの輝き】





中に入るよう促され、
開かれたドアに足を踏み入れると


直ぐに潤と目線がぶつかる


ドクンと心臓が跳ね、一気に押し寄せる緊張感






「さてと、カズナリ~?

具合はどう?」




張り詰めた空気を和ますように、身を乗り出して智くんが笑う




「余裕だっつーの」




同じ空気でケタケタ笑う二宮





「また働く?」

「バーカ(笑)

変態相手はひとりで充分だわ」

「ちょ、和っ

それ、どーゆー意味っ!?」




ふたりの会話に雅紀が加わって……


さっきまでの出来事が嘘のように、賑やかな空気が漂う



ぎゅうっと胸を締め付けられる感覚


熱くなる喉奥





「ちょっと!しょーちゃん!酷いと思わないっ?」





自ら入れない俺に、
自然に声を掛ける雅紀




ああ……

俺、知ってるわ



この空気



復讐心を抱いて、受け入れられずに過ごしていただけで



くすぐったい感覚を、確かに覚えてる





"幸せ"なんてさ


その気になれば、いつだって手に入れられたのかも知れない




あの頃の俺は、


そんな余裕なんてない、ガキだったから


自ら世界に、フィルターを掛けてた






「ははっ…」





泣いてんのか、

笑ってんのか、


自分でもわからない




狡いのも、不自然なのも承知で、

この空気に溶け込もうとした





みんな、たぶん

同じ気持ちだったんだと思う



他人が見れば、


滑稽に映るのかも知れない



それでも、


縋っていたいって、思えたんだ





いつかこの、ぎこちない関係が、



いつか……



遠い未来にさ……?






「あのさ、腹減らない?」





甘えるような口振りで、潤がそう切り出して





"なんか食うか?"
なんて盛り上がった





VIPルームで起きた事よりも、俺らにとっては嘘くさい時間だった



あまりに現実味がなくて、



その時の事は、
ハッキリと覚えていない




このメンバーで飯食ったなんて……




もしかしたら、


俺の勝手な幻想だったのかな




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