第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【ハダシの未来 1】
ガバッと抱きついてきたミキの勢いに、
ただでさえ、傾けて座ってたイスが倒れそうになって焦った
「ちょ!あぶねーって」
「だって!嬉しいっ!」
「だからっ、そうするつもりだってだけで……まだ先の話だよ?」
クラスのヤツらが、真っ昼間から仲イイなって、からかうように笑ってる
夜中から考えてた、"家を出る"計画
それを昼休み、ミキにポロッと漏らすと、予想以上に彼女は喜んでくれた
「ずっとイチャイチャ出来るね♡」
「結構、今もしてるでしょ?」
苦笑いして見せたけど、
ハシャいだミキが可愛くて、素直にうんと言えない
だけど、
やっぱりこうするべきだよな、って改めて確信した
「……だからさ、とにかくお金いるから。
バイトしようと思って……」
「バイト?……って、お兄さんに反対されてたんじゃないの?」
カフェオレのパックにストローを差しながら、ミキが首を傾げた
「バレたら反対されるだろうな……」
「そっかぁ。ホント、潤のお兄さんて厳しいよね」
お兄さん、じゃないんだけどね。
事情をわざわざ説明すんのも、詮索されんのも面倒で
周りには、俺と翔は兄弟だって事にしてる
「私も一緒にバイトしようかな……」
「なんで?」
「早くお金貯まったら、
早く一人暮らし出来るよね♪」
「ばーか。そんなのオマエに出させるワケねぇだろ(笑)」
ミキのカフェオレを取り上げて、一口含むと
浮かれた頭をグリグリ撫でた
「俺、頑張るから。
もうちょっと待っててよ」
「ふふ♡なんかプロポーズみたいだね」
「まだはえーし!」
始業ベルを合図に、自分の席に戻った
その日は、いつも以上に授業なんて頭に入んなくて、
バイトさえ決まってないのに、
新生活の構想ばかりが頭を埋めてた
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