第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――
【生涯なにがあっても愛するひとへ 1】
「あっ…は、やっ…ん…ふ」
自ら漏らす喘ぎ声に
戸惑いや羞恥心がないわけじゃない
あの頃とは違う
穏やかな日々の中、
身体を重ねることは、気持ちの上でしか成り立っていなかったから
今、こうしてることも、
"変わらない"と言えば、そうなんだけど……
腰を掴まれ、身体を揺らされながら、雅紀を奥まで感じて
いつもなら幸せな行為も、今は違う
“相談したいことあるんだ”
ちょっと泣きそうに瞳を潤ませて、遠慮がちに吐露する
だけど、どんな難題だって、俺が断れないの、お前はわかって言ってんだよね
夢にも思わなかった
もう一度、この店に足を踏み入れるなんて
まさか、雅紀と見世物になるなんてさ
"和が、潤くんに聞いた話。俺、どうにか助けられないかなって…"
純粋で優しい恋人は、時に残酷
わかるよ、ほんの少しはね?
だけど俺は、そんなに優しい人間じゃない
自分を犠牲にしてまで、誰かを助けたいだなんて思わない
俺はただ、
この人の側にいたいだけ
だから、
“ショーをぶっ壊そう”
“代わりに俺らが…”
自らそう、切り出したんだ
「ほらっ
ちゃんと見て貰えよ変態」
耳の中を舌で擽り、
杭を突き立てたまま、俺の欲望を激しく擦って…
指示した通りの台詞と所作で、俺を攻め立てる
“どんな感情昂っても、絶対泣くなよ。
すべてが台無しになる”
お前は泣きながら頷いて、俺を抱き締める
優しい心音とキスの中
チクリと痛んだ心に、お前は気付きもしない
櫻井にこれで、諦めて貰える
雅紀は俺のもんだって見せつけられる
負い目も感じるだろうし
2度と俺らの前には、現れない
ふたりだけの、穏やかな生活に戻れる
その為なら、
いくらだって演技してやるよ
「もっと…っ、あんっ…し、てぇ」
首を反らし
自ら股を開いて、淫らな台詞を吐けば
優しいこの人は、
もっと俺を愛してくれる
これは決して
お前の為なんかじゃないからな
涙が止まらないのも、
すべて、ただのイミテーションなんだから
.