第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――
【RIGHT BACK TO YOU 2】
ぎゅうっ… と
回された腕に力が籠る
翔くんが、
すべてをわかってくれたんだって
涙が止まらなかった
でもね、わかる?
曖昧なままでいようとする翔くんに、俺はやっぱり不安だったんだ
俺にとっては、大事だって思える唯一だったのに
翔くんは違ったから
こんな形でも、
最後に抱いておきたかった
すべてを記録しておきたかった
そんな浅ましい俺には、きっと気付かないだろうけど……
「オーナー!」
此処がホテルの一室なら、
俺らは綺麗な最後を迎えられただろう
大声で呼ばれ、現実に引き戻される
周りを見渡し、冷たい視線に鼓動が高鳴った
「早く……ショーを再開して下さい」
黒服が急かすように、
裸の潤くんを見せ付ける
冷ややかなギャラリーが、早く犯せとコールする
いくらオーナーとはいえ、
ここにいるVIPを怒らせてしまえば、経営に何らかの影響を及ぼすだろう
やっぱり今は
俺が翔くんを抱かなければ……
すると、巻き付けた腕が緩められ
身体を下にずらし、翔くんは俺の胸に、唇で触れた
「……ごめんね。
何も考えなくたっていいから、続きシて?」
悲痛な瞳は、切なく揺れる
翔くんは、切なく笑って頷いた
今は、割り切ろうって、
彼が承諾してくれたのはわかるのに、なかなか踏み出せない
翔くんが、代わりに胸の尖りに唇を寄せ
チュ、チュ、とキスを降らせる
熱を帯びた横顔は、残酷なほど美しい
鼓動は激しくなるばかりで
冷静になんかなれなくて
大事な人を、こんな場所で人目に晒すなんて……
遅すぎる後悔は、
身体の震えに代わっても
ギャラリーは今もなお、行為を迫り罵倒する
翔くんが必死に愛撫を続けるけど……
「ごめ…っ、俺には出来ねぇや……」
やっとのことで
吐き出した言葉は、情けないくらい弱々しい
すべて、終わりにしよう
居場所がなくなってしまうくらい、俺は慣れてるからさ
すべてを覚悟して、
翔くんの身体を引き離した時
突然、部屋の明かりが消え、真っ暗になった
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